伯爵夫人は、通称砂島と言われるサンド島を領地とする魔女だった。むろん、魔女とはウワサに過ぎない。しかし、深夜に黒い服になり、血塗れで島を歩き回っているのは事実だった。
勇気あるハンターは、魔女退治に砂島に乗り込んだ。ハンターは暗闇に紛れるために黒い服を着込んで暗視装置付きの銃を持ち、深夜待機した。
すると、黒服の伯爵夫人が血塗れで現れた。ハンターは飛び出して「正体を見たぞ魔女。血の付いたその黒服が証拠!」と叫んだ。
伯爵夫人は言い返した。「これは、夜行性の害獣を仕留めた時の返り血よ。あれを仕留めるのが趣味なの。それより、あなたも黒服じゃない。しかも、そのシミは血痕? 前の仕事で飛び散った返り血?」
(遠野秋彦・作 ©2012 TOHNO, Akihiko)